肺や気管などの呼吸器を守るために、外から入ってきたほこり、煙、風邪のウイルスなどの異物を気道から取り除こうとする生体防御反応が咳です。異物や痰が気道にあると、気道粘膜の刺激を受け取った咳中枢は、呼吸を行う筋肉に咳を出す指令を送ることで、咳を発生させます。
まず咽頭や気管、気管支など気道の粘膜表面にある神経が刺激を受けて、脳にある咳中枢に伝えます。その刺激が脳にある咳中枢に伝わると、横隔膜や肋間膜などの呼吸筋に指令が送られ、咳が起こります。この反射運動を「咳反射」といいます。
咳には気道に溜まった痰を外に排出する役割もあります。気道粘膜には細かい毛と、その表面を覆う粘液があり、粘膜の表面を潤して保護しています。この粘液がウイルスや細菌などの病原体やほこりなどの異物をからめ取ったものが痰です。気道に炎症があると痰が増え、粘り気が強くなります。痰は、外にむかって異物を追い出そうとする繊毛の運動と、咳反射によって外に出されます。
細菌感染による副鼻腔炎や肺炎を風邪に併発したことで咳があらわれている場合もあるため、咳が長引くときや風邪が落ち着いたころに咳や発熱が悪化したときには受診しましょう。
長引く咳には、注意が必要なさまざまな病気が隠れている可能性があります。